日本臨床薬理学会総会に参加しました。

こんにちは。

 

先週の木曜日~金曜日にかけて、東京都新宿の京王プラザホテルで行われた日本臨床薬理学会に出席しました。「臨床」薬理学と言う名前のように、日常診療において患者さんの治療の9割以上を占める薬の効果的な使用や注意するべきことについて探求する会なので、病院で治療にあたる上で大変役に立っています。

 

写真は大分大学医学部臨床薬理学の大学院に中国から留学されている JingNa Luoさんです。アレルギー治療薬に使われる抗ヒスタミン薬をアップルジュースと一緒に飲むと、例えば200mLの量では体内の薬の濃度を半分ほど減らしてしまうという研究発表です。

 

これまで、高血圧の治療薬であるカルシウム拮抗薬をグレープフルーツジュースと一緒に飲むと、消化管のCYP3A4という酵素を阻害することで、通常の代謝ができずに血中濃度が上昇する薬物相互作用が知られていました。Luoさんの研究では、アップルジュースと抗ヒスタミン薬であるフェキソフェナジン(商品名アレグラ®)を一緒に飲むと、消化管で薬物を取り込むOATP2B1というたんぱく質(トランスポーター)を阻害することで、逆に血中濃度が下がって効果が少なくなる相互作用の程度を発表されました。

 

Luoさんは中国から大分に来られて4年間臨床薬理学を学び、来年卒業して帰国される予定です。日本に来て印象に残ったことは、医局での大掃除で大学院生のみならず、職員も一緒に雑巾やホウキをもってお掃除したことは初めてで、大変貴重な経験だったそうです。(私も一昨年まで大学病院に勤務していましたので、それまで毎年医局の大掃除をしていました(^^:))。中国と日本の文化の違いに戸惑うこともあったと思いますが、とても楽しく有意義な留学生活を過ごされたとのことで、私もうれしいです!

 

今後ともますますのご活躍をお祈り申し上げます。

 

                          (文:森本)